SAP導入プロジェクトにおける社内3つの主要ロールとは?
- 野部 翔馬
- 4月4日
- 読了時間: 3分
更新日:5月16日

SAPプロジェクトの成功には、社内での役割分担が非常に重要です。この記事では、SAP導入に関わる3つの主要な立場「業務担当者」「IT部門」「実務利用者」について、それぞれの役割と特徴をご紹介します。
1. 現場の橋渡し役:業務エキスパート(キーユーザー)
キーユーザーは、各部門の業務に精通した「業務のプロフェッショナル」です。SAPプロジェクトでは、現場で求められる要件をシステム担当者へ正しく伝える役割を担います。
また、システムテストにも深く関与し、自ら業務シナリオに沿った動作確認を行います。たとえば財務会計領域(FICO)では、ベテランの経理担当者やマネージャーがキーユーザーを務めることが多いです。
さらに、キーユーザーは一般ユーザー(エンドユーザー)へのトレーニング担当として、システム操作方法の教育を行うこともあります。現場とITの間に立ち、コミュニケーションの橋渡しをする存在です。
2. 技術と業務をつなぐ存在:社内IT担当(ITユーザー)
ITユーザーは、企業内の情報システム部門に所属する技術スタッフです。SAP導入プロジェクトの中で、業務知識を学びながら、同時にSAPの技術要素についても深く理解していくポジションです。
彼らは、画面操作(フロントエンド)から設定・開発(バックエンド)に至るまで、幅広くシステムの仕組みを把握しています。プロジェクトのフェーズでは、外部コンサルタントと密に連携し、設定作業やトラブル対応などを行います。
導入後も、ITユーザーは社内のSAP専門家として活躍し、業務の変化に合わせた設定変更や運用改善を支える存在となります。
3. 日々の業務を支える主役:業務ユーザー(エンドユーザー)
エンドユーザーとは、実際にSAPを使って日々の業務を行う現場スタッフのことです。たとえば、会計業務で言えば、売掛・買掛・資産管理などを担当する実務担当者が該当します。
彼らは、必要な機能だけを利用しながら業務を遂行しており、システムの最終的な“使い手”として重要な存在です。同時に、「もっとこういう機能が欲しい」「こうすれば効率化できる」といった現場の声の出発点にもなります。
どのポジションがSAPコンサルタントに近い?
この3つの立場のうち、最もSAPコンサルタントへと進みやすいのは「ITユーザー」と言われています。次いで、業務に精通した「キーユーザー」、そして最後に「エンドユーザー」という順です。
とはいえ、財務領域のコンサルタントにはIT出身者と会計出身者がほぼ同じ割合で存在しており、どの立場からでもキャリアパスを描くことは可能です。
まとめ
SAP導入の裏側では、実に多くの役割が連携しながらプロジェクトを支えています。自分がどのポジションにいるかを理解し、将来的なキャリア構築にどうつなげていくかを考えることが、SAP分野での成長への第一歩です。